私の好きな人
「彩月…聞いてる?」
「うんっ聞いてる!!…帰りも、ありがと」
「おう」
やっぱり恥ずかしい
このいつも通りじゃない雰囲気
そして、こんな時に思い出す
"彩月……好きだ"
良平の告白
………私も
好きだよ
良平の背中におでこをコツんと当てる
良平の告白
すっごく嬉しかった
今も、それが現実だって思わせる
ねぇ良平
私も良平のことが好きって言ったら
私たちは彼氏彼女になれるんだよね…?
…なんで
それが言えなくなってるの…
「ごめんな」
「…ん?」
良平が静かに謝る
良平の背中からおでこを離し、前を向く
「変なことに巻き込んじゃって、ごめん」
「変なこと?」
「俺と小林の…」
「あ…」
【一週間、どれだけ彩月が好きか勝負しようぜ。最後に彩月が選んだ方が勝ち】
あの日の小林くんの言葉が脳裏に浮かぶ
そうだ
私が良平に告白出来ない理由
良平と小林くんの勝負とやらのせい
なんで、私もそれに従ってるのか不明だ…
あの日の2人の雰囲気にまんまとのせられた
何も言えなかった私が悪い
「迷惑だよな…正直」
「いやそ…んなことない」
「ほんとごめん、でも嘘はないから
……まじだからさ」
「…うん」
「俺なりに1週間やるから、最後は彩月が思うように決めてくれて良いから。とりあえず付き合わせてごめん」
「ううん…分かった」
私の答えは決まってるんだよ?
何年も前から……良平しか見てない
1週間後だろうが1年後だろうが
私の決めた人は1人しかいない
早く良平に伝えたいよ…
ただ、始まった1週間の中で良平との時間は幸せなのは分かってる
何より小林くんが何を考えてるのか…
正直、不安だし怖い