雨に恋するキズナミダ
「ありがとう。みんなお疲れ様! 戸締りはするから先にあがって。それから、そこのダンボールはモジャからの差し入れだからジュースとお菓子一つずつ持って帰ってね」
疲れていたみんなの顔が明るくなった。生徒会とはいえ、こんな雑用任されちゃ気分が滅入るよね。
わたしも去年やったからわかる。すごくわかる。ちゃんとジュース用意するとか、やるじゃないモジャ。
「お疲れ様! 気をつけて帰ってね!」
「はーい、お疲れ様です!」
夏海もみんなに慕われてる生徒会長。
羨ましい、のかな。羨ましいというより、キラキラしてて眩しくて、近づけない。
何か、悩み相談なんてとても出来ない。
「雪乃、戸締りするから。シロは外に出しておけば、勝手に遊んでると思うから」
「ごはんは? どうしてるの?」
「それもモジャが世話してるみたいよ」
「本当にマスコットね」
外に出ると夕焼け空だった。
空を切り裂くような飛行機雲が、まるでわたしの心まで傷つけるみたいで。
でも、そう思ってしまう自分がすごく惨めだった。