雨に恋するキズナミダ
「あ。メッセージだ」
持っていたスマホが震えて通知があったことを知らせる。わたしは慌てて画面にタッチした。
そこには思っていたのと違う人の名前。夏海だ。
少しだけがっかり。
"明日なんだけど、少し付き合ってくれない?"
機械音痴な夏海が珍しくラインを使ってる。絵文字がないところが彼女らしい。
場所を知らないのか、知ってても使いたがらないのか。まあ、後者の方かな。
付き合えってどういうことだろう。生徒会で忙しいはずなのに珍しいな。
"一大イベントが控えてるの! 明日は金曜日で次は休みでしょ? だから付き合って。"
ちょっと待ってよ。その一大イベントって何なのよ。
一番大事なことを言い忘れてる。本当に夏海らしい。
"彼の誕生日"
そっか。もうすぐ誕生日ってことで、何かプレゼントを用意したいわけね。
結局、惚気てくれちゃって。ため息が出るほど幸せオーラがすごいんだから。
「いいよ。付き合ってあげる」
夏海と出かけるなんて、最近じゃあまりなかったから嬉しい。
わたしは夏海にメッセージを残して、すぐに布団の中に入った。