雨に恋するキズナミダ
・・・
「ごめんね雪乃、誘っちゃって」
「いいの。出かけるの久しぶりだし、わたしも何か買いたいから」
放課後、制服のままバスに乗り込む。
行き先はひとつ先の停留所。この幸せカップルがよく行くカフェ雑貨屋さんらしい。
わたしは初めて行く所だから、わくわくとドキドキが混ざって楽しい。
今度、秋くんを誘ったら……って何を考えてるの、わたし。秋くんとは勉強会の予定立てなきゃなのに遊びに連れ出してどうするのよ。
勉強に困ってる人を連れ出して、不合格にでもなったらそれこそ責任感じるでしょうに。
「雪乃?」
「あ。えっと今から行くお店、はぴねすだった? どんなところなの?」
「オムライスが美味しいの!」
「わたしが聞きたいのは雑貨の方なんだけど」
にこっと満面の笑みで言うところ、本当に夏海らしい。
プレゼントを探しに行くのに、どうしてカフェの方の話をしちゃうかな。
それ、多分楽しかったデートのことを思い出して言ったんだろうな。そんなものわたしが塗り替えてやる! ちょっとした意地悪くらい許してよね。