雨に恋するキズナミダ

「まともに聞かないでさ。最近興味あるもの聞いたり、さり気なく持ち物を見て探ってみるとか、いろいろチェック出来るじゃない」

「そんな探偵みたいなこと出来ない!」

「探偵でもないよ。みんな普通に……でも、聞いたわたしがバカだった。夏海にそんな繊細なこと出来なかったね」

「軽くバカにした?」

「どうでしょう」

「雪乃!」



 二人でじゃれ合っていると、後ろから声をかけられた。
 振り向いたらはぴねすの男性店員さんで、にこっとスマイルを返された。



「お困りの様子ですが、何かお探しですか? 出来る範囲でお手伝い致します」

「ありがとうございます。夏海……あ、彼女なんですけど。彼氏への誕生日プレゼントを探していて。可愛いものがいいらしいです」



 まだ拗ね気味の夏海を店員さんにお任せすることにした。こういうのって難しいから、意外と店員さんの方がよく知ってる。


 夏海は店員さんに流されて適当に買うことがないだろうし、大丈夫。

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