雨に恋するキズナミダ
わたしたちは恋人同士らしくデートを重ねた。そんなある日。
『何? 食べられない?』
『ごめんなさい。先に言えばよかったよね。わたし、海老が苦手で』
たまたま入ったバーガーショップ。適当に買っていくからと、彼に頼まれて席を取って待っていた。
これから行く映画や買い物にわくわくしていたそこに、海老バーガーを買ってきた彼が現れて正直に言った。
『お金は払うし、その……勿体ないから持ち帰って家族に食べてもらうか――――』
『海老が嫌い? そんなの彼女じゃない』
彼女じゃない。
言われてわたしは戸惑った。
このまま別れて想いをそこで断ち切るなんて出来なかった。
わたしには彼しかいない。彼以外を考えられなかった。
『食べる。食べられるから! 好き嫌いなんてなくすから!』
無理やり食べた。吐きそうになったけれど、悟られないようにジュースで飲み込む。
最初は食に少しうるさい人なのかと、そのくらいに思っていた。だけど服の好みや髪型、喋り方、わたしの全てを支配し始めた。