雨に恋するキズナミダ


『もしもの話。大好きでたまらない人がいる。でも、たまに嫌いになる瞬間がある。ほんの少しだけ。あとはずっと好きなの。夏海はどう思う? 好きだったら何でも耐えられる?』

『話し合う』



 そう言った夏海はとても輝いて強く見えた。
 だから、その強さに縋りたくなったんだ。


 悩みを全て親友に託すなんて、わたしは卑怯だ。
 自分の気持ちを優先させないで、友達の意見だけで突き進もうなんて。


 だから、わたしは罰を受けたんだ。
 何も考えないで冬弥先輩に楯突いた。



『今なんて言った?』

『冬弥先輩のことは好きです。だけど服や髪型とかは自由にやりたいです。本当のわたしを見てほしい』



 無表情。危険だと思う暇もなかった。


 あの温かかった手が、凶器となって飛んできた。


 わたしは初めて殴られた。痛みは心に突き刺さって抜けなかった。今でもずっと胸を刺したまま。


 わたしはどんどん冷えていく……。


 ごめんね、夏海。
 ごめんね、秋くん。


 あの時に助けてくれた二人には、ただ謝ることしか出来なかった。


 解決した後もわたしは罪悪感を抱えたまま縋るものを探してる。
 本当に、最低だ……。

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