雨に恋するキズナミダ
「雪乃。まだあの時のこと……」
「違うの。もう気持ちの整理はついてると思う。ちゃんと和解してから別れたし」
冬弥先輩のこと、秋くんは良く思っていない。
まだ傷ついてるなんて言ったら、きっとわたしの代わりに怒るんだろうな。
そんなふうに思わせてしまうことが申し訳ない。謝ってばかりだ。
「それ、嘘だろ」
何であっさり見破っちゃうかな。
でもあの日がフラッシュバックして倒れたこと、見ていなくてもわかるよね。わたしの心がこんなに壊れていたなんて自分でも気づかなかった。
「……ごめん」
「本当に見てられねえよ」
「ごめん」
「違う。そうじゃない。頼むから、オレに守らせて欲しい」
「……え? 守る?」
真剣な目がわたしを貫くように見る。
それが恥ずかしくなって目をそらそうとしたけど、秋くんに頬を包むように持たれて前を向かせる。
ますます恥ずかしくなって目だけを別に向ける。