雨に恋するキズナミダ
「あの事件の後、ずっと守らせてくれただろ?」
「それは……同じ学校に冬弥先輩がいたからだし、秋くんがどうしてもって言うから」
秋くんはずっとわたしの隣にいてくれた。
退学して学校に通えなくなった後も、わたしを迎えに来てくれた。毎日、登下校は一緒。
それが日常だったんだ。
でも冬弥先輩が卒業して、わたしが三年になると秋くんに頼る理由がなくなってしまった。それに秋くんも就職が決まって忙しくなってきていたし、これ以上の迷惑をかけるわけにはいかない。
だから、
『もう大丈夫だから。そんなにわたし弱くないよ』
って言った。
恋人でもないわたしたちが一緒にいる特別な時間。わたしは自らそれを終わりにした。すごく寂しかったけれど。
「だって秋くん。これ以上、迷惑を……」
「いいから黙って守らせろ」
「え?」
「頼むから。そうやって一人で悩んでるの、見てらんねえ」
抱きしめられて、わたしの耳元でまるで泣いているみたいな掠れた声で言う。
「雪乃を守りたい」