雨に恋するキズナミダ
"体調は大丈夫か?"
大丈夫、とスタンプ付きで返す。
特に眩暈とかどこか痛いというのはない。とにかく暇なだけだ。
"じゃあさ……"
続く文字に、わたしは驚いてベッドから飛び起きる。
お腹にいた飼い猫のアメを落としてしまって、睨んで文句を言われてしまった。
「ごめんって」
わたしのせいなんだけど、部屋を出ていってしまう。途端に寂しくなった。
「仕方ないでしょ。びっくりしたんだから」
わたしは改めて秋くんからのメッセージを見る。見間違いじゃない。
「デート? 明日?」
秋くんからの絵文字のないメッセージに、わたしはオーケーと書かれたスタンプを送る。
待って。そんなに素直にオーケーしていいことなの? あ、でも土日はゆっくりするって言ってたんだ。どうしよう……。
少しくらいなら、出かけてもいいよね。お昼くらいなら。
"じゃあ午後二時。雪乃のとこの駅に来てくれたらわかるから"
約束しちゃった。
どうしよう。会うのが楽しみで眠れない。
え? 楽しみ? 楽しみって何?
この間、久しぶりに会って話をした時には感じなかった。あのまま疎遠になっても不思議じゃない関係だったのに。
どうしたんだろう。
こんなの、初めてだ……。