雨に恋するキズナミダ
事実を言ってみれば、モジャが後ろに回り込む。
あれ? 痛い。痛い? 痛い!!
よく見れば拳をこめかみに押し当ててぐりぐりしている。ぐりぐりとか、わたしは小学生か!
「いたたたたた……っ! 痛いです!!」
というか、力いっぱいぐりぐりとか。何考えてんの!
「さっさと入学式に行け」
「だ、だから……」
「まだ足りんか!」
その時、タイミングよくチャイムが鳴った。
「ああっ! 入学式、終わっちまった!!」
「そ、それは残念でしたね」
「お前のせいだぞ!」
力いっぱい、ぐりぐりを三回繰り返してからやっと解放された。本当に暴力で訴えたくなる。
「雪乃にぐりぐりする日が来るとは思わなかったな」
「え、そんなこといつもやってたんですか?」
「信頼関係のある一部の生徒だけだ」
「へー」
下を向いてこめかみを撫でていると、今度はぐしゃぐしゃと頭を撫でられる。