雨に恋するキズナミダ
6
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「雪乃、ちょっと手伝ってよ」
職員室から出ると、タイミング良く現れた夏海が話かけてきた。
まだ朝だっていうのに相変わらずバタバタしてる。
「あれ。髪切った?」
「何か前髪が邪魔でね」
この間見た時より、さらに前髪が短くなってる。
「邪魔ではないでしょ」
「邪魔だよ! おでこが痒くなる」
「それ、短すぎるせいじゃないの?」
制服が嫌だからってジャージ着てて、喋らなかったら本当に男子。心はちゃんと乙女なのに。
「それより運ぶの手伝って」
「手伝ってもいいけど、彼氏とは上手くいってるの? 話を聞かせて」
「交換条件ってこと?」
「夏海の惚気話も聞いておかなきゃ。またケンカしたって泣いた時に、すぐ対応出来ないもの」
「ちょっと、いつの話よ?」
そういえば誕生日プレゼントは無事に渡せたのかな。
わたしは夏海から、持っていた書類を半分受け取る。
何かしらの資料らしく、何枚かに纏める作業があるのかな。生徒会長なのに雑用ご苦労さま、だ。