雨に恋するキズナミダ


 ・・・


 去年は生徒会で書記として頑張っていた。わたしはそれが誇らしくて、自慢で、こんなわたしをみんなが選挙で選んでくれたことが嬉しかった。


 真面目だったのかもしれない。
 勉強だって努力を惜しまず、誰からも褒められるように自分を磨いてきた。ただ、苦しかった。


 わたしはいつも、何かに縋っていないと生きていけないような……そういう損な歩き方をしていた。


 愛されたくて、気にしてほしくて、そばにいてほしくて。
 嫌われたくなかったから。


 そうやって生きていると自分が嫌いになる。醜い姿が浮き彫りになるような、そんな感覚。本当に汚い。


 こんな自分、いなくなればいいのに――――。



「雪乃?」

「あ。わたし、また立って寝てた?」

「お願いだから、椅子を片付ける間は意識をこっちに向けて」

「ごめん、夏海」



 入学式は無事に終わって、わたしは体育館で夏海にこき使われてる。
 生徒会長のありがたいお言葉を聞かないで、サボっていたわたしへの罰だって。


 だいたい、そのありがたいお言葉は新入生に向けて言ったんじゃないの? わたしには関係ないじゃない。
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