愛があれば、それで
「関さんさ、透のこと好きでしょ?」



昼休み。
食堂でご飯を食べていると、本田さんの同期だという桜木さんがあたしの向かいに座ってきた。



「桜木さん……」


「好きになるのは勝手だけど、結花ちゃん……透の奥さんのこと傷つけるのは許さないから」


「へー、桜木さん。結花のことが好きなんですね」


「……結花?」



結花のことを呼び捨てにしたあたしに目を見開く。



「あたしと結花、小中高と一緒で仲いいんです。結花の旦那さんってこともあたしは知ってますよ」


「まじか。じゃあそれ、透には?」



目の前の食事を口に入れながら、あたしに尋ねてくる。



「言いませんよ。いったら相手にされなくなるじゃないですか。結花にバレたくないからって。そんなリスキーなことしませんよ」


「……は?」



あたしの言葉に信じられないという顔をする桜木さん。



「桜木さんは、相手の幸せをみてれば幸せかもしれないですけど、あたしは自分が幸せにならないなんてありえないですから」



それだけ言って食べ終わったあたしは席を立ち上がる。



「頼むから誘わないでくれよ、頼むから」



桜木さんに懇願されたけど、そんなことはどうだってよかった。

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