愛があれば、それで
「帰らないでほしいです。今日休みじゃないですか」



そう俺の背中にくっつく、彼女をそっと俺から離れさせる。



「本田さん?」


「ごめんね、今日は無理なんだ」



初めて女の子の誘い断ったかもしれない。



「……え」



あからさまにショックを受けた顔をする彼女に受け入れてしまいそうになるが、今この状況。
受け入れるなんて俺の選択肢にはない。



「奥さん、お腹痛いっていってるんだ。だから、ごめん」



妻の、いや、俺たちの子供の一大事は俺を正常な考えに戻してくれるらしい。



「わかりました。でも、またこうして会いましょうね」


「ん、またね」



俺はそれだけ言うと、急いで彼女の家をでて、タクシーで自分の家へ向かった。

そのときにはすでに、自分の考えは正常に戻ってて、彼女との関係はこれっきりにしようと誓っていた。



「結花!」



リビングに横たわる、結花を見つけてトントンと手でさすると、結花が目を開いた。



「透くん、ありがとう」



辛そうな顔で笑う結花に胸が傷んだ。

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