愛があれば、それで
「んーーーひっさしぶりのおうちー。ほーら、風音(かざね)のおうちだよー」



結花と風音の退院の日。
仕事の休みをとって、一緒に家に帰ってきた。

子供には風音と名前をつけた。
画数的に1番よかったから。



「透くん、今日は会社休んでくれてありがとう」


「何言ってんだよ。風音が初めて家にくるんだぜー?これが見ないわけにいかねーだろ」



この先、仕事が忙しい俺は風音の成長を1番に見てあげることはできないだろう。
だから、いまは一緒に見たかった。



「見れるうちに見ておかなきゃね」


「ん?」


「ほら、あたしも仕事に復帰したらきっと風音の成長を最初に見るのは保育園の先生だと思うの。だからいまこの時を大事にしたい」



結花らしい考えだと思った。
俺も結花も仕事をするから、風音の成長をすぐには感じられない。

職場にいる3歳のお子さんがいる先輩が言ってたっけ。
保育園からもらう連絡帳で知ることが多いって。

働くということはそういうことだ。

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