愛があれば、それで
「でもどうして……?」
菜美だとわかったのか。
そう聞いているのだろう。
「退院した日、助手席に乗ったら下に落ちてたの。これが」
「ピアス?」
あたしがテーブルに置いたピアスを桜木さんが手にする。
「うん。これ、高校生のときに菜美とおそろいで作ったものなの。そんな同じものを作る人もいないだろうけど、偶然かなって最初は思った」
助手席でこれを見つけたとき、最初はまた女が出来たのかって思った。
それがこのピアスだとわかったときの喪失感たらすごいものだった。
透くんに分からないくらいには平然を保ったけど。
「なんで確信したの?」
「毎日匂う、香水。あれも菜美が自分で調合してるものだったから……これは偶然じゃない。きっと産休代理で入ってきたのが菜美だったんだって」
いつものことだった。
でも、まさか菜美の言ってた「ライバル」にまたなるだなんて。
本当に洒落にならないことになるなんて。
菜美だとわかったのか。
そう聞いているのだろう。
「退院した日、助手席に乗ったら下に落ちてたの。これが」
「ピアス?」
あたしがテーブルに置いたピアスを桜木さんが手にする。
「うん。これ、高校生のときに菜美とおそろいで作ったものなの。そんな同じものを作る人もいないだろうけど、偶然かなって最初は思った」
助手席でこれを見つけたとき、最初はまた女が出来たのかって思った。
それがこのピアスだとわかったときの喪失感たらすごいものだった。
透くんに分からないくらいには平然を保ったけど。
「なんで確信したの?」
「毎日匂う、香水。あれも菜美が自分で調合してるものだったから……これは偶然じゃない。きっと産休代理で入ってきたのが菜美だったんだって」
いつものことだった。
でも、まさか菜美の言ってた「ライバル」にまたなるだなんて。
本当に洒落にならないことになるなんて。