愛があれば、それで
「あれ……?」



帰ってきて、気分転換にと思って部屋の掃除をしてるときだった。



「嘘でしょ……」



寝室のベッドの下を掃除したとき、下からでてきた5つの袋。



「ねぇ、この家でもしたの?」



その瞬間、いままで一度も流れてなかった涙が頬を伝った。

このダブルベッドがそんなことに使われるなんて。
買ったときは、思いもしなかった。



「うう……っ」



こみ上げてくる猛烈な吐き気。
そのままトイレに駆け込んだ。

なに、あの5つの袋。
バレたくないなら、ちゃんと処理しなさいよ。
あたしが入院していたのは5日間。
どうやら、風音を産んであたしが入院していることをいいことに透くんは菜美をここに連れこんでいたらしい。



「バカ……」



なんでいつもこう爪が甘いのよ。
他に女を作るならバレないようにやりなさいよ。
だいたいなんで、よりにもよって菜美……。

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