愛があれば、それで
「なぁ、そんなに結花ちゃんの相手が欲しいなら俺が結花ちゃんと付き合えばいい?」


「は?」



桜木さんが突然言い出したことが理解不能だ。



「そしたら、君の興味は俺に移るわけでしょ?」


「何言ってるのよ!」



違う。
今回は違う。

写真を見て、彼に惚れたのだ。
いつも結花と付き合った人ばかり見てきたから、ほぼ初めての恋だといっても過言ではない。



「君は透に恋なんかしてないよ」


「はぁ?」



言い切るような桜木さんの言葉にイライラが募る。



「写真をみて、一目惚れだとか胸が締め付けられたとかこの前言ってたけどさ」


「え?」


「でも、それだっていままでと同じく結花ちゃんの相手でしょ?」



桜木さんの言葉に全身がかぁーっとなる。



「な……」



あたし、この人に言ったっけ。
結花の彼氏をずっと奪ってきたこと。

でも、どちらにしても今回は絶対に違うのに。
あんなに胸がしめつけられたことはない。
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