愛があれば、それで
「いやだ、絶対に離したくない」



手に入れたんだ。
あたしは、あたしの好きな人を。



「明日は絶対に……」



別れ話をされるんだろう。
それでも、最後に1回だけと懇願すればきっと彼は断らない。
それで関係が断ち切れるならと受け入れてくれるはずだ。

だから、あたしは手元のゴムの袋に針で穴を開けた。



「出来ちゃえばいいんいいんだよ……」



毎日彼と体を重ねているベッド。
ゴムは2人で買ったものをあたしの家に置いてある。
何度かすることになったときのために、3つのゴムに穴を開けた。



「これで、彼はあたしのもの」



そう思えるだけで、幸せが満ちていった。

ほら、いままでとは違うじゃない。
だって、あたし彼を離したくないもの。
やっぱり、本当に好きなんだ。

これが、あたしと彼の純愛だ。
たとえ、あたしのことを見ていないとしても。
本当の気持ちには気づいてないとしても。

あたしを彼は求めてるはずだ。
あたしは彼に求められている。
体を重ねていると感じるんだ。

すぐそばに彼を。

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