愛があれば、それで
「それ、誰から聞いた?」



そんなこと聞かなくてもわかってる。
家のベッドの下なんて、見る人は俺と結花以外にいない。



「結花ちゃんに決まってんだろ」


「……っ」



結花にバレていた事実に胸がぎゅうっと掴まれる。



「いい加減にしろよ。お前」



いつもより低い声が頭上空振り落ちてくる。



「バレてたのか……」


「そんなの前から気づいてる。また我慢させてたんだよ」



俺って、そんなにバレバレなんだろうか。
いつも結花に気づかれて、それを桜木から聞いてる気がする。


「でもさすがに。自分といつも寝てるベッドでされたのは堪えたらしいよ」


「え?」


「吐き気が止まらないって」


「……っ」



桜木から知らされた結花のことに俺が泣く資格なんかないのに、俺の瞳からは涙がこぼれ落ちてくる。



「まずさ、お前のトラウマどうにかしようか」



入口のドアが開いた音がして、桜木が立ち上がる。



「え?」



桜木の行動を不思議に思って、入口の方に目を向ける。

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