愛があれば、それで
「死ぬなんて、そんなこと言うな!」



あたしに駆け寄って、あたしの肩に手を触れる。



「触らないで!」



透くんに触れられた瞬間、またあの吐き気が襲ってきて、風音を抱いたままトイレへと駆け込む。



「おい、結花大丈夫か!?」



透くんも駆け込んだあたしについてきて背中をさする。



「触らないでって言ってるじゃない!あなたが触ってるうちはこの吐き気はなくならない!!」


「結花……」



あたしの態度に眉を下げる透くん。

透くんのことが好きだけど、許せるわけなんてないよ。
だって、本気になっちゃったんでしょ。
だって、あたしと別れて菜美と風音と3人で暮らすつもりなんでしょ。

そんなの許せるわけがない。
いままでみたいに遊びであれば良かった。

あたしの元に来てくれればよかったんだから。
でも、もうあたしの元に透くんが帰ってきてくれることはない。



「離婚には応じるよ。でも、風音は渡さないから」

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