王太子殿下の花嫁なんてお断りです!
叶えたい
その後王宮に戻ると事件の処理でとても忙しかった。

まずは弟王リアムは今後一切の国内立ち入り禁止が言い渡され、西の国の情勢が変わりつつある。穏やかな性格の兄王を推す声が大きいのだ。

それも致し方ないことだが、兄王は自分の足りない部分を弟王に任せたいとも言っていたため、オリヴィアはきっと何か変わっていくかもしれないと期待していた。

そしてメイは情状酌量の余地があるとして、オリヴィアの訴えもあり、再びオリヴィアの侍女をすることで落ち着いた。メイが罪悪感からか相当嫌がったが、オリヴィアの必死の訴えもあり元の形で落ち着くことになった。

そして降りヴィアの領地アンスリナは国防の観点からも、ダルトン伯爵家の領地から管轄を外され、今は王太子殿下の管轄値となっている。

王太子であるアーノルドとオリヴィアを中心に、焼けた森の復興と新たな産業を発展させていくことになった。

そして屋敷を焼失したオリヴィアは王宮内に部屋を与えられて、メイと共にそこで過ごすこととなった。

そうして数日たった頃、アーノルドとオリヴィアには少しの変化が起きていた。


「おい、まてオリヴィア!」

「なんですか、アーノルド様」

「話を聞く気があるなら止まれ馬鹿!王宮中を使って追いかけっこみたいな真似をさせやがって!」


というのもオリヴィアがアーノルドから逃げ回っているからだ。

あの日以来アーノルドへの恋心を自覚してしまったオリヴィアは一体どんな顔をして合えばいいのかと混乱して逃げ回っていたのだ。

そんなオリヴィアが何を考えているのか読み取れないアーノルドは苛立っていたのだった。


「いい加減にしろ、オリヴィア!」


大きな声にオリヴィアは立ち止まった。ただ背中をむけたまま、顔を見ることは出来ない。


「お前は俺が嫌いか?」

「…いえ、嫌いではないです」

「そうか。俺はお前が面白いなと思ってる。これからも傍にいて欲しいと思うくらいに」


その声でオリヴィアはアーノルドの方に振り返った。


「だからお前が何で逃げるのか分からないのが困る。俺はお前が傍にいてくれたらいいと思うのに」


そう言ってもらえるのは有難いが、オリヴィアには大きな懸念があった。

< 142 / 143 >

この作品をシェア

pagetop