花鳥風月
いつか、涙が枯れる日が来ても、夜空の光を眺めていたことだけは。
どんな事があっても、これだけは忘れたくない。
いや、忘れられない。
「……忘れないで……」
「……何を?」
「……こういう瞬間。」
「忘れようとしても、忘れられないだろ。」
笑ってそう言い切る彼。
長い夜は、もう明けそうだ。
もうすぐ草木も花も鳥も、大地も海も森も、目を覚ますだろう。
静かに朝の気配が近づいている。
fin.