花鳥風月
本堂に辿り着くと、手をしっかり繋がれていたことに気付く。
「……暗いから、離れるなよ。」
「……うん」
上を見ると、人の頭ばかりだ。
だけど、そんなのは気にならないくらいにたくさんの星が出ていた。
「……すごいね。」
「だろ。もう少し明かりの少ない所、行こう。」
星、星、星。
幾つもの星座が空に描かれている。
私達は飽きることなく何時間も眺めていた。
その間、星は絶え間なく巡り続け、消えることがない。
……私もそうなれたらいいのに。
消えたくない。
誰の中からも消えたくない。
こんな星のように。
そうすれば、私は何も失わない気がする。
「……私、ここにいられるのかなあ……。」
「……俺の中にはちゃんといるから、いていいんだよ。」