一途な彼にとろとろに愛育されてます
1.ふたりの関係


季節は、日に日に寒さが増し秋から冬へ移ろう頃。

道行く人々は、ジャケットや巻物で寒さをしのぎながら、足早に街を歩いていく。



そんな東京の恵比寿駅からほど近い場所にあるホテル、『ガーデンタワー東京』。

そこは、ベージュとブラウンのモダンな配色の建物がおしゃれな、地下5階、地上30階建てのラグジュアリーホテルだ。



敷地内にはチャペルがあり結婚式場としても好評価。

最上階にあるビュッフェレストランは、美味しさとメニューの豊富さ、そしてこまめなメニュー変更による新鮮さもあり、とても人気がある。



そんなホテルを入ってすぐ、広々としたロビーにあるフロントで、私は笑顔でカウンター越しにお客様に声をかける。



「いらっしゃいませ。チェックインですね、ではこちらの用紙へご記入をお願い致します」



黒いジャケットにタイトスカート、首元には水色のスカーフを巻き、茶色い髪は後ろでひとつにまとめている。

私、長嶺亜子はこのホテルでフロント担当として働いて6年目の26歳だ。




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