一途な彼にとろとろに愛育されてます
「さては、檜山となにかあった?」
「えへへ、なにかあったというかなんというか。ちょっとは特別視してもらえてるのかなって、そう思えるようなことが続いてて。嬉しいなーって」
髪をひとつに束ねながら、えへへとまただらしなくにやける私に、瑠璃は短く相槌を打つ。
「そう。じゃあそろそろ告白するんだ?」
が、いつも通り告白を急かされ、にやけていた顔も苦笑いになる。
「いや、それとこれは別というか……」
特別視されてるかも、とは思えどそこから一歩踏み出して告白する勇気はない。
相変わらずウジウジとする私に、瑠璃はじれったそうに眉間にしわを寄せる。
「そんな悠長なこと言ってていいの?」
「でも……」
「いい?ミネコはあくまで同居人でしかないんだからね。このままじゃいつか檜山に彼女ができたらそれでおしまいなんだから」
そして言い聞かせるように、私の肩を掴む。
「あとで後悔しても遅いんだから。このままでいい、なんて現状に満足してちゃダメよ」
あくまで、同居人でしかない。
そんなこと、何度も自分でも思ってるしよくわかってる。
このままモタモタしていて、いつか檜山に素敵な人が現れて、なにもできないまま家を出るしかなくなってしまう。
そうならないために、瑠璃は何度も何度も私の背中を押してくれている。
なのに、いっこうに動けない。
後悔する未来より、関係が崩れてしまう今の方が、こわくて。