一途な彼にとろとろに愛育されてます
「なにが鈍感なのよ!」
「あの人前からお前のこと明らかに狙ってただろ。なのにお前は酔っ払って隙見せるわ、押し通されて泊めるわ、そのせいでああして付け込まれるわ!いい加減にしろ!」
うっ……。
田丸さんが私を狙っていたとかは知らないけれど、酔っ払ったのも泊めたのも事実だから否定できず、反論する言葉に詰まる。
「そんなこと言ったって、檜山には関係ないでしょ」
「あるんだよ」
そっけなく跳ね除けようとした私に、檜山はそう言って私の頬を両手で掴む。
持ち上げられるように顔を上げると、こちらを見つめる彼の瞳には、戸惑う自分の顔が映った。
「好きな奴が言い寄られてて、関係ないって言える男なんていないだろ」
好きな、奴……?
それって、つまり私のことを指しているって、そう思ってもいいの?
なんで、だって。
「なにそれ、だって、檜山は杏璃さんのことが……」
杏璃さんの名前を出すと、檜山は呆れたような渋い顔になる。