一途な彼にとろとろに愛育されてます
「だから、誤解だって。話聞けよ」
「だって昨日も杏璃さんの話したら照れてたじゃん!」
「だからそれは……あー……」
昨日の会話のくだりを思い出しているのか、困ったような顔をして、ぐしゃぐしゃと髪をかく。
言いたくなさそうに一度言葉を濁すけれど、観念したように口を開いた。
「確かに俺はこの前他の奴に、杏璃さんと付き合ってるか聞かれて否定した。その時にああいう人が好みなのか聞かれたから、肯定はした」
「やっぱり好みなんじゃん……」
「けどそれは杏璃さんみたいな人が好きっていうことじゃなくて……ミネコに似てるから、好みだって意味」
え……?
私と杏璃さんが、似てる?
「別に、顔もスタイルも似てないと思うけど」
「そういうところじゃなくて。喜怒哀楽が激しくて、隙ばっかりで、飯食ってる時が一番幸せそうな顔してて……そういう全体的な雰囲気が似てるってこと」
つまり檜山が昨日照れたのは、杏璃さんのことに対してではなく、私の姿を思い浮かべてだった?
わたしのことを考えて、見たこともないような表情を見せた。
そのことに驚きを隠せずにいると、檜山は照れ臭そうに顔を背ける。
けれど微かに見えるその横顔は、頬も耳も赤く色づいていた。