一途な彼にとろとろに愛育されてます
なんて、不器用な人なんだろう。
そう思うと同時に、そんな彼がいっそう愛しく思えた。
檜山は私を見つめて言葉を続ける。
「……そんなミネコといると、こっちまでしあわせになる。今日もお前が笑ってくれてることに、安心する」
私といて、檜山が幸せ?
その言葉がうれしくて、涙が出そうになってしまう。
すると檜山は顔を赤くしたまま私をぎゅっと抱きしめた。
「出て行くなんて言うなよ。……ずっと、同じ家に居てくれ」
あの家に、居ていいの?
檜山と同じ家で、檜山と一緒に、過ごしてもいいの?
そのひと言ひと言、全てが嬉しくて、檜山のジャケットをぎゅっと握った。
「……檜山、私のこと好きなの?」
「だからそう言ってるだろ。そもそも好きじゃない奴を同じ家に住ませるわけない」
「え?」
同じ家に住ませるわけが……ということは、檜山は、最初から私を好いてくれていたということ?
「なにそれ……そんなの、全然知らなかった」
「そりゃあ、気持ち知られて逃げられたくないから。俺も気づかれないように慎重だったし」
驚きを隠せない私に、檜山はぼそぼそとした言い方で照れ臭そうに言葉を続ける。