一途な彼にとろとろに愛育されてます
「先にご飯食べててよかったのに」
「いや少ししたらミネコも帰ってくるだろうと思ったから待ってた」
待ってて、くれた……。
檜山はいたって自然に言うけれど、そういう優しさが嬉しい。
「ビール飲む?」
檜山の問いに頷くと、彼は冷蔵庫からよく冷えた缶ビールを取り出してテーブルに置く。
今日の分のビールはなかったはずだから、檜山がふたり分買ってきてくれたのだろう。
そういうところがやっぱり好きだ。
その想いに、自然と笑みがこぼれる。
「なんだよ、嬉しそうにして。相変わらずの酒好きだな」
「えへへ、うん。大好き」
大好き。それは、本当は彼へ向けた言葉。
進みたい。関係を変えたい。
だけどそう願う以上に、この生活を守りたい。
家の中だけでも、あなたの隣にいたい。
そう強く願うから、好きの気持ちは今日も胸に秘めたまま。