一途な彼にとろとろに愛育されてます
そんな日から5年が経った今現在。
朝7時をすぎたマンションの一室では、私がひとりドタバタと家の中を駆け回っていた。
「あー!寝坊したー!!」
今日は8時からの勤務だというのに、ついさっき起きたばかりの私は寝癖を直して歯を磨いて、と慌ただしく身支度に追われていた。
広い家の中にはすでに檜山の姿はない。
社長秘書の朝は基本的に早く、この時間にはもう出ていることがほとんどだ。
檜山の意地悪!私昨日『明日は6時に起きる』って話をしたんだから、起こしていってくれてもいいじゃん!
いや、朝はそれぞれ起きて出勤するっていうのがふたりの間のルールなんだけどさ。
だけどたまには例外もあると思う。
「よしっ!身支度終わり!行こ!」
走りやすいようにヒールの低い黒いパンプスを履き、私は部屋を飛び出した。