一途な彼にとろとろに愛育されてます
ひとり、地下にある従業員用通路を歩き、静かな廊下で「ふぅ」と息を吐く。
……後輩たちの手前平然を装ってはいたけれど、正直怖かった。
男の人に肩掴まれたり突き飛ばされたりなんてしたことなかったから、本当に怖かった。
檜山が来てくれなかったら、どうなっていただろう。
そう考えるだけで、心臓がドクドクしてる。
その恐怖をこらえるように、エプロンの胸元をギュッと握る。
「ミネコ」
すると、そこに声をかけてきたのは後から追いかけてきたらしい檜山だった。
「檜山。さっきの人は?」
「騒ぎ聞いた社長が直々に話つけるって」
立花社長が……。
わざわざ社長が出てくるとなればあの人の酔いも冷めるだろう。
なんとか収拾つきそうでよかった。ほっと安堵の息を吐く。