一途な彼にとろとろに愛育されてます
「こわ、かった〜……」
一気に子供のように泣き出すと、檜山はなだめるように私の頭を抱き寄せた。
スーツのジャケットに顔を押し当てて、すがるように抱きつく。
そんな私を受け止めるように、檜山は優しく頭を撫でてくれた。
どうして檜山はいつもこうやって、心の中を見透かしてしまうの。
呆れてからかってばかりのくせに、涙を受け止めてくれるの。
「……後輩の前でよく我慢したよ。偉い偉い」
そう、かけてくれる柔らかな声が、髪を撫でる長い指が、やっぱり好きだと思ってしまう。
恋人になれる見込みなどないとわかっていても、それでも諦めきれない。
やっぱり、檜山が好きだ。