一途な彼にとろとろに愛育されてます
「あー、あれね。失敗っていうか、『恋人作る気ない』って断られた」
「そうなの?残念」
「でも悔しいのがその後でさぁ」
その後?
自分が去ったあとのやりとりだろう、その内容を知りたくてさらに耳を傾ける。
「『家にほっとけない奴がいるから。今はそいつで手いっぱい』なんて、おかしそうに笑うんだよ?それって絶対彼女じゃん!」
彼女は悔しそうに言うと、手にしていた飲みものを一気飲みした。
家に、ほっとけない奴が……。
その言葉に特別な意味なんてきっとない。ただ単に『手がかかる同居人』というだけ。
だけど、それでもうれしい。
恋人じゃなくても、その胸にいられるなら。
それだけで、いい。そう、また強く思わせた。