一途な彼にとろとろに愛育されてます
3.こっちを向いて
私たちが同居を始めるきっかけになった日は、今でも忘れない雨の夜のことだった。
当時彼氏と同棲していた私は、仕事を終えいつものように家に帰った。
ところがそこにあったのは、彼氏と見ず知らずの女の子が裸でつながる姿だった。
『どういうこと!?浮気してたの!?』
『浮気っていうか……前々からこいつと一緒になりたいと思ってたんだよね。いい機会だし、別れよう』
浮気現場を目撃、と思いきやまさかの本命は彼女のほうだったらしく、彼はあっさりと私を捨てた。
唖然とするうちに、荷物をまとめる暇すらも与えられずに家を追い出された。
家も彼氏も失って、おまけに雨にうたれてずぶ濡れになった私は、行くあてもなく駅前を歩いていた。
そこにたまたま通りがかったのが、仕事帰りの檜山だった。