一途な彼にとろとろに愛育されてます
「あ、いたいた。ミネコ」
ある日の午後、仕事中にホテルの廊下を歩いていると名前を呼ばれた。
足を止め振り向くとそこにいたのは瑠璃で、彼女は私を手招きする。
「どうしたの?」
「ちょっと来て。お客様のドレス選びに意見ほしいの」
瑠璃はこのホテルのウェディングプランナーだ。お客様の結婚式のプランからドレス選び、当日の参加者の宿泊の相談まで幅広くおこなっている。
うちのホテルはドレスメーカーとも提携しており衣装部屋も完備しているので、全てここで済む半面瑠璃の仕事は忙しい。
「今最後の2択まで絞れたんだけど、そこでどっちがいいか決められなくて。ミネコにも見てもらいたいの」
「私は構わないけど、いいの?私素人だよ?」
「お客様がいろんな人の意見が聞きたいって仰ってるのよ」
そういうことなら、と瑠璃に連れられるがまま、ブライダルフロアの一番奥にある衣装部屋に着いた。
壁の両側にずらりとドレスが並ぶ室内は、いつもキラキラとしていて、来るたびほれぼれとしてしまう。