一途な彼にとろとろに愛育されてます
「うーん、どっちも捨てがたくて迷っちゃいますよね」
「そうなんです!主人は『どっちでも大差ない』って言うんですけど、全然違いますよね!」
「大差ありますよね。シルエットが少し変わるだけで印象が全く違いますもん」
もー!と声を上げる彼女に、私も一緒になって頷く。
「あ、じゃあ純白のほうも見せていただいてもいいですか?」
「はい、もちろんです」
女性は頷くと、着付けの従業員とともに試着室へと向かって行った。
歩くたび長いベールがふんわりと揺れ、後ろから見ても綺麗だ。
「はぁ、やっぱり花嫁さんって素敵だね」
自然と笑顔になりながら言うと、瑠璃はそんな私を見て笑った。
「やっぱり、意見聞くならミネコだと思ったんだよね」
「どうして?」
「相手と一緒に悩んだり共感したり、そういうのってミネコのいいところだと思うから。お客様も嬉しくなるよ」
瑠璃は嘘をつかない人だから、普段厳しいことも言うけれどその分こうして嬉しい言葉もストレートにくれる。
それがなんだか照れ臭くて、私は「えへへ」と笑って誤魔化した。