一途な彼にとろとろに愛育されてます
腕にしっかり胸当たってるし……!
檜山も払わないってことはまんざらでもないってこと?
やっぱり男は胸なの!?
「……結婚って。相手もいないのに考えられないだろ」
「じゃあ私立候補ー!ってことで今度ごはん行こ?」
こちらがヤキモキしているうちに、彼女はいっそう檜山の腕にぎゅっと抱きつき、さらには顔を近づけている。
なんて積極的なの……。
その近い距離に心はモヤモヤして、段々と強い嫉妬心に覆われる。
でも、彼女は自分から動いて檜山にアタックしてるんだもんね。
動くことひとつ出来ていない私に、妬く資格なんてない。
けど他の子にくっつかれているところなんて見たくない。
ぐちゃぐちゃな気持ちを紛らわせるように、私はグラスの中のビールをぐいっと飲んだ。
「おっ、長嶺飲むねぇ。おかわりいるか?」
「いります!」
今の関係を壊したくなくて動けないままでいる。そんな私が、誰も彼に触れてほしくないなんて思うなんてわがままなのはわかっている。
だけど、いやだよ。
触れないで、近づかないで、奪わないで。
その目を、そっちに向けないで。