一途な彼にとろとろに愛育されてます
それから数時間後。
飲み会を終え会計を終え外に出る頃には、私はぐったりと店先でうずくまっていた。
「うぅ〜……のみすぎた」
ハイペースで飲みすぎた……。
足はフラフラするし頭はぐるぐるとするし、動けないしなにも考えられない。
「ちょっとミネコ、大丈夫?」
瑠璃が声をかけて背中をさすってくれるけれど、「うぅ」という情けない声しか出ない。
「長嶺だいぶ飲んでたもんなぁ。俺が送ってやろうか」
田丸さんはそんな私の腕を掴み、体を支えるようにして立ち上がらせてくれた。
送る、と言われても私の家ということは檜山の家。うっかり上がり込まれでもしたら大変だ。
それだけはすぐ判断がつき、『大丈夫です』と彼から離れようとした、その時。
「長嶺」
名前を呼ぶ声とともに、肩を掴まれ体を抱き寄せられた。
「へ?」
驚き顔を上げるとそれは檜山で、彼はそのまま私の肩を抱いたまま早足で歩き出す。
「えっ!?おい、檜山!?」
「俺家同じ方向なんで送っていきます。お疲れ様でした」
田丸さんにそう声をかけ、檜山はそれ以上の追及を許さぬようにその場を去った。