一途な彼にとろとろに愛育されてます
なんで、いきなり……しかもみんなの前で。
私が送られることで同居がバレてしまったら、ということを懸念しただけかもしれない。
というか、それ以外の理由がない。
だけど、肩を抱く手の力強さにいちいちドキドキしてしまう。
そのまま大通りに出て、檜山はすぐタクシーを捕まえる。
そして私を押し込み自分も乗り込むと、住所を伝え、車が動き出した。
静かな車内で檜山はネクタイを緩め口を開く。
「お前飲みすぎ。酒好きはわかるけど動けなくなるまで飲むとか、いい年してやめろよ」
「はいはい、すみません」
確かにいつもより飲みすぎてしまったけど……そもそもは檜山のせいなんだから。
ふてくされるように、ふんっと顔を窓の方に背ける。
そんな私の反応に檜山がどんな顔をしているかは見えない。