一途な彼にとろとろに愛育されてます
嫌いって言われたから嫌いって言い返すとか……子供か。冷たすぎる。
私たちの仲なんて、そんなあっさりとしたものだとわかっている。
わかっているけれど、そのひと言がぐさりと刺さった。
……そもそもは自分が言ったことなのに。
彼が言う『嫌い』の言葉が重すぎて、泣きそう。
その時だった。
檜山の長い指が、私の手を包むようにぎゅっと握った。
不意打ちで感じた彼の低い体温に、心臓がどきりと跳ねる。
驚きと戸惑いで檜山のほうを見ると、彼は先ほどまで背けていた顔をこちらに向け、困ったような表情をしてみせた。
「冗談だよ。……んな泣きそうな顔、やめろよ」
「なん、で……」
「そっち見たら、窓に映ってたから」
嫌い、なんて言った相手を、どうして気にかけてくれるの。
泣きそうだったからって手をつないでくれる、その優しさに余計泣きそうになってしまう。