一途な彼にとろとろに愛育されてます



それから十数分が経ち、マンション前でタクシーが停められた。

檜山に体を支えられながらタクシーを降りると、千鳥足のまま自宅へと向かう。



「お前、明日二日酔いだって騒ぐなよ」

「わかってるってば〜」



檜山と話しながら部屋に入り、玄関で靴を脱ごうとした。

ところが、片足を上げた瞬間。ただでさえフラフラだった体は、一気にバランスを失いよろける。



「わっ」

「あっ、おい!」



前のめりに転ぶ私に、檜山は手を伸ばし体を支えようとするけれど、結局一緒に倒れてしまった。

ドタン!という大きな音とともに体に衝撃を受ける。

けれど、見ると横になった私の目の前には檜山の顔がある。私は彼を下敷きに転んでしまったのだと気付いた。


< 62 / 154 >

この作品をシェア

pagetop