一途な彼にとろとろに愛育されてます
それから十数分が経ち、マンション前でタクシーが停められた。
檜山に体を支えられながらタクシーを降りると、千鳥足のまま自宅へと向かう。
「お前、明日二日酔いだって騒ぐなよ」
「わかってるってば〜」
檜山と話しながら部屋に入り、玄関で靴を脱ごうとした。
ところが、片足を上げた瞬間。ただでさえフラフラだった体は、一気にバランスを失いよろける。
「わっ」
「あっ、おい!」
前のめりに転ぶ私に、檜山は手を伸ばし体を支えようとするけれど、結局一緒に倒れてしまった。
ドタン!という大きな音とともに体に衝撃を受ける。
けれど、見ると横になった私の目の前には檜山の顔がある。私は彼を下敷きに転んでしまったのだと気付いた。