一途な彼にとろとろに愛育されてます



「あー!もう!最悪!」



落ち込んだまま気持ちは晴れず、帰宅早々私はひとり声をあげて靴を脱ぎ捨てる。

そしてリビングに入ると、少し硬めの三人がけのソファにボスン!と音を立てて飛び込んだ。



最悪なのは、彼の存在ひとつにこんなにも左右されている自分。

寂しいからって、檜山がいないだけで仕事でミスまでするなんて……そんな自分が情けない。



そもそも!出張中だからって電話どころかメールのひとつもくれないってどういうこと!

……いや。恋人でもないし連絡がなくても仕方ないんだけどさ。

そもそも檜山が連絡とかマメにする方とは思えないし。



自分から連絡してみようかな、とも思うけど、恋人でもないのに迷惑かなとか思ってしまう。

そこでもやはり『同居人』という自分の立ち位置が邪魔をする。


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