一途な彼にとろとろに愛育されてます



「でもビンタで追い払えたし、すぐ寝ちゃってなにもなかったし」

「押し倒されたうえで泊めたのか!?無用心すぎだろ!」

「だって潰れて寝てるのに追い出せるわけないでしょ!」



私には私の理由がある。そう反論した私に、檜山は不快そうに顔をしかめる。

そしてなにかを言おうと口を開くけれど、すぐに閉じ、言葉を飲み込むと同時に息を吐いた。



「……寝る」

「えっ、檜山?」



しぼんだ勢いに、こちらが戸惑ってしまう。

名前を呼ぶけれど檜山は足を止めることなく、自分の部屋へ入って行った。

バタン、とドアの音でこちらからの接触を拒むように。



檜山……なにか怒ってる?

機嫌が悪い時こそいつも以上になにも言わないタイプだ。

でも今の会話の流れで怒るようなところあったかな……。それに、最後なにを言おうとしたんだろう。



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