一途な彼にとろとろに愛育されてます
『実は前から同居の件は檜山から聞いてたんだが、黙っててほしいって頼まれててな。敢えて触れないようにしてた』
「そうだったんですか……」
そっか、そうだよね。
なにかあったときのために、立花社長には事前に話しておいたほうがいいと檜山は判断したのだろう。
立花社長もそれをからかいのネタにするタイプではないし。
「あの、檜山が大丈夫そうかっていうのは……?」
『いや、昨日檜山が誰かと電話してるかと思えばそわそわしだしてな。なにかと思って聞けば、長嶺が先輩泊めるって言いだしてる、って』
昨日のあの電話の時、近くに立花社長もいたんだ。
そわそわ、というかイライラした檜山を想像して冷や汗が出る。
「やっぱり、檜山怒ってました?」
『怒ってるっていうか、とにかく落ち着かない様子で、あれ多分一睡も出来てなかっただろうな』
「え……?」
それは、予想外の返答だった。
怒ってるというより、落ち着かない……。一睡もできないって、どういうこと?
『多分長嶺のことが心配でたまらなかったんだろうな。帰国して俺送るときも運転荒くてヒヤヒヤしたよ』