一途な彼にとろとろに愛育されてます
「行くのはいいけど……私服じゃダメだよね」
「当然皆ドレスだろうな」
だよね……。着ていけるようなドレスあったかな。この際新調しようか、ちょうど靴もバッグも新しくしたいと思ってたんだよね。
うーん、とあれこれ考えながら、またフォークに麺を絡めた。
檜山は「ところで」と話題を切り出し、目の前の食べかけのナポリタンを見る。
「……お前、いい加減麺類以外も作れよ」
「いいじゃん。ナポリタン美味しいじゃん」
「美味いけど。一日置きで麺類食わされる身にもなれ」
呆れた顔をする檜山に、まぁまぁと宥めるように今日は私が彼のグラスにビールを注いだ。
特別な理由で選んでもらえたわけじゃないってことはわかってる。
けど、外でも檜山の隣を歩けるのが嬉しいな。
その気持ちをこらえきれず、思わず笑みがこぼれた。