宿命~フェイト~
仕事もプライベートもNO.2になった私。
食事を終えて、店を出たら強い雨が降っていた。
亮は私を待たせて駐車場まで走って車を取りに行ってくれた。
車の中で会話は弾まない…
流れてるBGMはあの日亮がラストに唄っていた私の好きなアーティストの曲だった。
激しい雨の音とワイパーの音…
チラッと亮を見る。
その横顔はあの日見た悲しそうな、つらそうな顔に見えた。
なんだか私までせつなくなってしまう。
晴れて彼女になれたのに…二番目の………
あっという間に家に到着。
まだ12時前。いつもならまだ二人とも別々の店で笑顔を振りまいている時間だ。
まだ帰りたくない……
私は妹と一緒に暮らしている。突然家に誘うことは気が引けた。
約束していたCDを取ってくるから待ってて!そう言って一度家に入った。
貸してあげるCDを探しているその間も頭の中は『やだ、やだ 帰りたくない!まだ一緒にいたい!』諦めきれず。
CDを持って亮の車に戻った。
まだ雨は激しく降り続いている。
私は敢えて傘を持たずに亮の車の助手席にすべりこんだ。
「はいこれ。約束してたCD。早く覚えて聞かせてね!返さなくていいからね!」
「サンキュー!練習するから!」
やっと笑顔の亮。
「ねぇ、もう帰るの?帰らなきゃならないの?………私はまだ帰りたくないよ………」
「…………だけどどうする?雨降ってるし、俺たちそうそう二人で人前に出れないんだよ!行くとこないじゃん」
「ふーん。解ってるくせに意地悪いうんだね。」
私の小悪魔モードを全開にした。
「…………ホテル?………………行く?」
苦笑いの亮にとどめの一言。
「意気地なし!!」
亮はチラッと私をみて、無言で車をスタートさせた。
軽い女と思われてもいい、何と思われたって、私はどうせ都合のいい女。
開き直ってやる!!
車はホテル街に向かっている。狭い街だ、すぐに着いてしまう。
いざ近づいて来るとドキドキしてきた。
亮に抱かれる。願っていたことだ。
嫌な事も面倒な事も何もかも忘れてしまえ!
その夜私たちは初めて抱き合い結ばれた。
あの日私が恋に落ちてから半年がたっていた。