宿命~フェイト~
「そうなんだー」

ママは私をチラッと見て

「うちの樹理はいい女でしょ?」

酔いがまわり始めたママが余計な事を言わないかハラハラする。

「私が見つけたんだからね!原石を!磨いたのはあんたかもしれないけど見つけたのは私なんだからね!」

ママは突然訳がわからないことを言い出して亮にからみだした。

だけど意外なことに亮はニコニコしていた。


自分のせいで私がいい女になったって間接的に誉められて、気分を良くしたのかな?

ママの発言は私と亮の事がバレてる事がバレバレなのに…


ママは専属のタクシーを呼び、会計を済ませて
「ごゆっくりー!後は樹理置いていくからよろしくー!」
とか言って帰って行った。

帰りの車の中で、昨日の事件、千夏の失敗のいきさつを話した。ハラハラしながら一応謝った。

「樹理は携帯に隠して俺達のプリクラ貼ってただけだから、責められないよ。何も悪いことはしてないじゃん。」

亮が特に顔色も変えなかったのでホッとしたし、めちゃめちゃ嬉しかった。
初めて他人に私達の事知られちゃったのに。

亮は絶対嫌な顔すると思ってたから。

実は私は私達二人の事を誰かが知っていてくれる事をひそかに喜んでいたから。
誰も知らない二人の関係なんて寂しすぎたから。

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