【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「兄上っ、順内閣大学士が―……」
高星に呼ばれ、徐に顔を上げる。
すると、嵐雪は顔を真っ青にして駆け寄ってきて。
「どうした」
ただならぬ様子に、黎祥は近づく。
すると、彼は息を切らしたまま。
「……っ、表貴人が亡くなられました。宮正司によると、殺人の可能性があると」
―……もたらされたのは、一人の黎祥の妃の死。
大した感慨も抱かないその妃の死は、後に翠蓮の身を危ぶませる事件につながっていくこととなった。